転職してすぐ時短勤務は使える?入社1年未満と育児の制度

公開日: 2026-10-06 #時短勤務 #転職 #育児・介護休業法

転職してすぐ時短勤務を使えるかは、応募先の会社が労使協定を結んでいるかどうかで変わります。育児・介護休業法は、短時間勤務・育児休業・残業の免除について、労使協定があれば「入社1年未満」の人を対象外にすることを認めています。一方、子どもの急な発熱などで使う子の看護等休暇は、2025年4月から入社直後でも使えます。

この記事は、育児・介護休業法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省の解説資料・Q&Aを2026年10月2日に読んで書いています。運営者には、子育てをしながら転職した経験はありません。ここに書くのは法律が定める最低限の内容で、実際の扱いは会社の就業規則と労使協定で決まります。

入社1年未満だと使えない可能性がある制度の一覧

次の表は、子育てに関わる主な制度について、法律が労使協定で「入社1年未満」を対象外にすることを認めているかをまとめたものです(確認日:2026年10月2日)。

制度 対象になる子の年齢 労使協定で入社1年未満を対象外にできるか 根拠
短時間勤務(1日原則6時間) 3歳未満 できる 育児・介護休業法 第23条第1項
3歳以降の柔軟な働き方の措置(2025年10月1日から) 3歳から小学校入学前 できる 同法 第23条の3
所定外労働の制限(残業の免除) 小学校入学前 できる 同法 第16条の8
育児休業 原則1歳まで できる 同法 第6条第1項
子の看護等休暇 小学校3年生の修了まで できない(注) 同法 第16条の2・第16条の3

(注)子の看護等休暇は、6か月未満を対象外にする仕組みも2025年4月1日に廃止されました。労使協定で対象外にできるのは、週の所定労働日数が2日以下の人だけです。

「できる」は、会社が対象外にしてよいという意味です。労使協定を結んでいない会社では、入社1年未満であることを理由に申し出を断ることはできません(日々雇用の人や、有期雇用で契約の終了が決まっている人など、法律そのものが対象外にしている場合を除きます)。厚生労働省の解説資料(育児・介護休業法の解説資料(PDF))にある労使協定のひな形も、育児休業、残業の免除、短時間勤務、柔軟な働き方の措置のそれぞれで「入社1年未満の従業員」を対象外にする例を載せています。実際にどのくらいの会社が入社1年未満を対象外にしているかを示す統計は、見つけられませんでした。

短時間勤務は、法律の上では「1日6時間」を含む制度

会社は、3歳未満の子を育てていて育児休業をしていない人から申し出があれば、所定労働時間を短くする措置を用意しなければなりません(第23条第1項)。その措置には「一日の所定労働時間を原則として六時間とする措置」を含める必要があります(施行規則第73条)。

もともと1日の所定労働時間が6時間以下の人は、この制度の対象になりません(施行規則第72条)。パートで1日5時間の契約なら、法律上の短時間勤務の話にはならないということです。

労使協定で対象外にできるのは、入社1年未満の人、週の所定労働日数が2日以下の人、業務の性質や体制から短くするのが難しい仕事の人です。このうち、業務の性質や体制を理由に対象外にした人には、会社が始業時刻の変更やテレワークなどの代わりの措置を用意する義務があります(第23条第2項)。

3歳から小学校入学前は、会社が選んだ措置から1つを選んで使う

2025年10月1日から、3歳から小学校入学前の子を育てる人について、会社は次の5つから2つ以上を選んで用意しなければなりません(第23条の3、施行規則第75条の2〜第75条の4)。

  1. 始業時刻などの変更
  2. テレワーク等(月10日以上)
  3. 保育施設の設置運営など
  4. 養育両立支援休暇(年10日以上)
  5. 短時間勤務(1日原則6時間を含む)

法律が働く人に保障するのは、会社が選んだ措置の中から1つを選んで使うことです。会社が短時間勤務を選んでいなければ、3歳を過ぎたあとは時短ではなく、テレワークや始業時刻の変更で調整することになります。この措置も、労使協定で入社1年未満の人を対象外にできます。

会社は、子が3歳になる前の決まった時期(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に、選んだ措置の内容や申出先を本人に個別に知らせ、使うかどうかの意向を確かめなければなりません。厚生労働省のQ&A(2025年9月24日時点版)では、入社1年未満で今は使えなくても、子が3歳になるまでに入社1年を迎えて使えるようになる可能性がある人には、知らせることは必要で、意向の確認は要らないとしています。

残業の免除は小学校入学前まで

小学校入学前の子を育てる人が請求すれば、会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」を除いて、所定労働時間を超えて働かせることはできません。対象は2025年4月1日に、3歳未満から小学校入学前に広がりました。

ただし、労使協定で入社1年未満の人と、週の所定労働日数が2日以下の人を対象外にできます(第16条の8、施行規則第44条)。労働基準法第41条第2号の管理監督者は、この制度の対象外です(肩書きが管理職でも、実態が管理監督者でなければ対象です)。

子の看護等休暇は入社直後から使える

小学校3年生の修了までの子を育てる人は、子1人なら年5日、2人以上なら年10日の子の看護等休暇を取れます(第16条の2)。1日単位のほか時間単位でも取れます。

2025年4月1日の改正で、労使協定で対象外にできる人から「継続雇用期間6か月未満」が外れ、残ったのは「週の所定労働日数が2日以下」だけになりました。厚生労働省のQ&Aも、改正後は「継続して雇用された期間にかかわらず」使えると書いています。

同じ改正で、取得できる理由に感染症による学級閉鎖、入園(入学)式、卒園式が加わりました。授業参観や運動会は法律上の理由に入らず、会社が独自に認めるかどうかになります。休んだ日の給与を払うことは法律で義務になっておらず、有給か無給かは会社ごとに違います。

次の子の育児休業給付は、前の会社の期間も数えられることがある

育児休業そのものは、労使協定で入社1年未満の人を対象外にできます(第6条第1項)。これとは別に、雇用保険から出る育児休業給付には次の要件があります。

休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。

(厚生労働省のリーフレット、2026年8月1日改訂版(PDF))

厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」の専門家回答は、前の勤め先の期間も「前職の離職日から1年以内に再就職しており、かつ前職の離職による失業給付の受給資格を決定していない場合」は数えられると説明しています。転職のあいだに、前の会社を辞めたことによる失業給付(基本手当)の受給資格の決定を受けていた場合は、実際に給付を受け取ったかどうかにかかわらず、それより前の期間は数えません。自分が当てはまるかは、勤め先を管轄するハローワークに確かめてください。

応募先に確かめておくこと

求人票に「時短勤務可」「子育て中の方も活躍中」と書かれていても、入社した日から使えるかは別の話です。内定前後の面談で、次の点を確かめておくと、入社後に「1年は使えない」と分かる事態を避けられます。

  • 短時間勤務・残業の免除・育児休業について、労使協定で入社1年未満の人を対象外にしているか
  • 入社日から時短で働けるなら、1日何時間の勤務で、給与はどう計算されるか
  • 子が3歳になったあと、会社が用意している措置(5つのうちどの2つ以上か)
  • 子の看護等休暇は時間単位で取れるか、有給か無給か

聞きにくいときは、「就業規則の育児に関する部分を、入社前に見せてもらえますか」と頼む方法もあります。

無料で相談できる公的な窓口

転職先の探し方そのものは、ハローワークの窓口でも相談できます。厚生労働省によると、子育て中の人向けの「マザーズハローワーク」が23か所、ハローワークの中の「マザーズコーナー」が183か所あります(マザーズハローワーク事業、2026年10月2日確認)。担当者が決まった形での就職支援、応募書類の作り方や面接の対策、保育の情報の提供などを行い、子ども連れでも利用しやすいようにしているとしています。

入社したあとに制度の利用を断られた、申し出たことで不利な扱いを受けたといった場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談を受けています。

出典(いずれも2026年10月2日に確認)